加害者側の心理
ネットで誹謗中傷などの書き込みを行う加害者の心理は、悪いことや相手の名誉毀損になることを理解しているものの、加害者側になることで法的に罰せられるリスクを軽視しています。
検挙や損害賠償請求が認められるニュースが増えたのはここ数年ですが、携帯電話やインターネットが普及した90年代から、悪意のある内容の投稿やメール送信での拡散をする事例が多く見られました。
正義感から誹謗中傷していることも
正義は人それぞれの価値観によって変わります。
たとえば、就職した会社がブラック体質だったり、利用した飲食店が不衛生だったり、高額商品を販売するスタッフの対応が悪かった場合に、ネットで投稿することで同じ気持ちを抱く人を減らせると思っている方がいます。
勤務先の対応が悪い場合は労基署、飲食店の衛生問題は保健所、個人向けサービスの内容が悪い場合は国民生活センターなど適切な通報・相談先がありますが、相手に法的もしくは社会的制裁を加えるには、法的根拠(証拠)が必要です。
ネットでネガティブな投稿をして、最終的には加害者の扱いを受ける人の中にも、当事者は最後まで自分は加害者ではなく被害者だと思っているケースがあります。
ネットの世界で自分を優位に見せたい
ネット上で誹謗中傷する加害者心理は、スマホアプリのゲームに課金する人の心理と似ていると言われています。
ネット上の世界で自分を優位に見せたい、多くの賛同を得たいと思うものです。
有益な情報を発信してネット民の賛同を得る方法もありますが、誹謗中傷などネガティブな投稿の方がバズりやすい特性を持っています。
ネット世界での活動は、自分を優位に見せ、注目を集めたい思惑もありますが、努力をしてまで何も対価がないネットでの情報発信をしようとする人が少ないです。
結果的に、楽な方法で注目を集めようとして誹謗中傷などの投稿をしてしまいます。
イジメの心理
小中高生で問題になっているのがLINEのグループを使ったイジメです。
身内同士のトラブルで実名を使ったやり取りになりますが、イジメは大勢で特定の相手を弱者にして叩く心理があります。
イジメをする人は、集団になって行うことで罪悪感がなくなる特性があります。
イジメの心理と同じで、会社や芸能人など知名度が高い相手に対して、ネット上の個人が束になって誹謗中傷をしようと考える人間心理があります。
自分の思っていることと同じ内容の投稿を見ると、自分も同じ思いを抱いたことを伝えるために誹謗中傷の投稿をする人もいれば、相手を困らせるのではなくネット上で同じことを思っている同士を見つけたい思いで投稿を行う人もいます。
嫉妬心
ネットによる誹謗中傷の被害者になる人は、芸能人・スポーツ選手・会社経営者など成功して名声を手に入れている方が多いです。
当然、成功者でも敵が一切いない人もいますが、成功しメディアに露出して注目を集めると、嫉妬心を抱いて足元をすくおうと考える人が増えます。
たとえば大ブレークしたお笑い芸人のネタを面白いと思わず、むしろ不快に感じる経験は多くの人があると思います。
自分の中では評価が低いのに世間の評価が高く、成功して高収入を得ているのを見ると、嫉妬心から虚偽の内容で誹謗中傷してしまおうと考える人が現れます。
最初は簡単に否定する内容の投稿でも、世間の反応が違い、ネットへの投稿に対して反応が悪いと。目立つことや気を晴らす目的で全く関係のない嘘を投稿するようにエスカレートしてしまう事例があります。
なかにはリアルの世界で何をやっても上手くいかないストレスから、気晴らしで無差別に誹謗中傷している人もいます。
嫉妬心だけで直接、誹謗中傷や虚偽の投稿による犯罪を起こすことは少なくても、誹謗中傷の加害者は嫉妬しやすい共通点を持っています。
参考記事:ネット中傷の歴史について